BtoB営業のコツは自分の強みに“いざなう”こと【提案書 画像アリ】

企画書・提案書
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はじめに

実際に作成した資料を公開しながら、伝え方を解説していく本シリーズ。
今回取り上げるのは、インフラサービスを提供する企業が、WEB制作会社にAWSの保守管理サービスを売り込む際の提案書です。
(私はプレゼン資料・提案書作成や、広告動画の台本作成を生業としています。詳しくはこちら

営業をかける際、冒頭から自社の強みをゴリ押ししていませんか?

たとえば、営業資料でいうと、こんな感じの冒頭です。

P1、Aというサービスをご存知ですか?Aを導入するととても便利になります!
P2、しかし…Aというのはこういう難しさがあるので、専門知識がないとうまく扱いきれません…
P3、弊社はAに関して、こんな実績があります!安心してお任せいただけます!

営業をかける方の意図としては「Aの強みをはじめから思い切りアピールしよう!」ということなんですが、営業をかけられる方(営業資料の読み手)からしたら、「Aなんて初耳。ゴリ押ししてくる感じが要警戒だな」という印象になりかねません。
あるいは、Aというサービスが複雑である場合には、読み手がAに関して理解が浅いまま話が展開していくので、すべてのアピールがうさんくさい話と捉えられてしまうこともあり得ます。

数年かけて積み上げてきた自社の強みを、伝え方のミスで自ら阻んでしまうなんて、もったいないですよね。

そこで今回は、相手を自分の強みに引っ張り込もうとするのではなく、自然と“いざなう”ような営業資料の組み立て方をご紹介します。

シンプルなコツなので、ご自身の営業や提案書作成に、カンタンに応用していただけると思います。

ポイント

いちばん押し出したい強みは、自社が提供できるさまざまな価値の中のひとつとして紹介する!

解説

いちばん押し出したい強みなのに、あえて、他のものに埋もれさせてしまう理由は、自分と相手との間には温度差があるからです。
自分は「自社の強みを押し出したい!」という気持ちで燃えていますが、相手の中で燃えているのは「私にとってのメリットは何なの?」という気持ちであって、「営業をかけてくれてるこの人のアピールに全力で耳を傾けたい!」とは決して思っていないからです。
まずは「私にとってのメリットは何なの?」という気持ちに応えないと、話を聞いていただけません。

そこで、得られるメリットの全体像を把握させた上で、いちばん押し出したい強みの解説に入る、という前置きが必要となるのです。
今回の資料でいうとP1~P3で、「私たちは御社のこんなお悩みを解決できて、御社にはこんな明るい未来が待っているんですよ」という概要を伝えてから、強みに焦点を当てていく構成にしています。

実際の画像とともに見ていきます。
(サービスが特定されないよう、一部デザインを変更したり伏せ字にしたりするなどの変更を加えてシンプルにしてあります。)

P1:導入部…「実はこんなにやるべきことがあるんですよ」「知ってました?」的な導入部にしてみました。(理由は後述。)

P2:課題提示…営業先の企業さんが抱えていそうな課題を提示。BtoBの営業ならずとも、提案書の定番パターン。

P3:自分たちが提供できること…P2の課題に対応させながら、「うちに任せてもらえればこうやって解決できます」と語るページ。自分たちが提供できる価値の全体像を提示します。項目4に、いちばん押し出したい強みをしれっと入れています。

P4とP5:強みについての紹介に入る…ここからグワーッと強みに絞っていきます。しかし、P1~3までの流れがあるので、読み手としても違和感なく読み進めていけます。

どうでしょうか、相手の頭の中で「たしかにこういう悩みはあるぞ。この人に頼めば解決するのか」という土台を築いた後に押し出したい強みの説明に入ることで、興味を持っていただきやすくもなっていますよね。

このあとに入れておきたいこと・注意点

さて、無事に、相手を自社のいちばんの強みにいざなったのですから、あとは丁寧かつ中だるみが生じないように、テンポよく資料を展開させていくだけです。

ちなみに今回の資料では、以下のような流れにしました。

・資格…弊社にはAWS認定資格保有者がこれだけいますよ
・実績…○年以上、○件の実績、導入企業名など、信頼を得るための具体的内容を。
・他社との違い
・導入事例…導入するとどうなるか、どう良くなるかをイメージできるように。
・導入までのフロー
・費用…キャンペーン紹介
・さいごに

よくある資料との比較

温度差の部分は重要で、他の資料作成などでも汎用性が高いので、軽く解説しておきます。

もう一度、よくある提案書の冒頭パターンを見てみましょう。

P1、Aというサービスをご存知ですか?Aを導入するととても便利になります!
P2、しかし…Aというのはこういう難しさがあるので、専門知識がないとうまく扱いきれません…
P3、弊社はAに関して、こんな実績があります!安心してお任せいただけます!

Aというサービスがちょっと複雑だったりする場合は、P1とP2の間に「そもそもAというのは、こういうものです!こんな長所があるんです!」というページが入ることもあります。

このパターンも決して間違いではありません。
しかし、「温度差がある」ということを念頭に置いて眺めてみると、“たしかにヘタにやると相手の警戒心を高めたり暑苦しいと感じさせたりするかも”と感じませんか?

アピールしたい方にとっては「これめっちゃいいでしょ?内容を知ってくれたらあなたも絶対いいと思ってくれるはず!」という気持ちがあるからバーンと押し出すんですが、そのバーンと押し出す感じそのものが、「内容を知ってくれたら」という前提条件のハードルを上げてしまうこともあるんです。

私が日々、営業資料や動画広告の台本を作成している中で、クライアントさんから送られてくる素案を拝見すると、自分と他人の温度差への意識が薄いなと感じることがとても多いです。

次に提案書や営業資料をつくるときから、ちょっと意識してみてください。

さいごに

さいごに、細かなポイントも解説。
たとえば導入部をどういうパターンにするかも、考える必要があります。

今回のクライアントさんはサーバー管理のプロということでしたので、「プロじゃないと出来ないこと」があると、営業先に知っていただくきっかけとして、この導入部を採用しました。
「本当はこれだけやるべきことがある」ということを、意外と知らない方もいるということだったので、この導入部が適切と判断しました。

こんな風に、部分部分で最適なパターンを採りながら必要な情報を紹介していき、全体として自然な流れに構成するのが、提案書や営業資料づくりの難しいところです。

本ブログでは今後もさまざまな角度から資料作成について解説していくので、RSS登録やTwitterをフォローしていただくなどして、更新のお知らせが届く状態にしておいていただけるとうれしいです。

この記事を書いた人
高田 秋介

構成作家
※ランサーズ認定ランサー

資料作成代行/動画広告の構成
累計150社以上

ご依頼主が“伝えたい”とお考えのことをしっかりと読み解いた上で、「相手を惹き込む構成」あるいは「相手の中にスッと入っていく構成」を意識して作成。

※詳しいプロフィールは上記の名前部分を押すとご覧いただけます。

令和3年12月23日スタート。

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