福祉施設への営業で使う提案書の作り方【実例紹介その1 画像あり】

企画書・提案書
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はじめに

今回取り上げるのは、薬局さんが障碍者福祉施設さんに「かかりつけ薬局」の提案営業をする際に用いる提案書の作成です。
(私はプレゼン資料・提案書作成や、広告動画の台本作成を生業としています。詳しくはこちら

福祉施設のような営利目的を主としていないところに営業をかける場合、以下のような迷いを抱くこともあるのではないでしょうか。
“人の健康に関することなのに「儲かるよ」「効率化するよ」などとアピールするのは不適切なのでは?”

かといって、アピールしたい商品やサービス(今回のケースではかかりつけ薬局)の社会的意義をガチガチに訴えても“一人で声高に謳っている感”が出てしまって、提案書としては熟れていないものとなってしまいます。

そこで今回は、
・売り込み的な雰囲気をなるべく抑えて、メリットを伝えること
・堅苦しさをなるべく出さずに、提案内容の社会的意義を伝えること
この2点を両立した提案書づくりについて、考えていきたいと思います。

福祉施設に限らず、保育園や学校向けの提案書でも応用可能だと思うので、よければ参考にしてみてください。

ポイント

・冒頭で、「メリット」と「社会的意義」を同時に言及できる「ビフォーアフター」を採用。
・次に、施設の担当者にとっての「メリット」を、“業務内容の変化”という形で言及する。

解説

ビフォーアフター形式を採るのは、メリットと意義を同時に語ることができるからです。(同時に語る必要性は後述。)
概念図を作成して企画・仕組みの概略を説明するなど、パッと見で概略を把握できるようにしましょう。

P1:ビフォー(意義とデメリット混在ページ)
これまでの「病院→門前薬局→患者」構造を図示。

P2:アフター(意義とメリット混在ページ)
かかりつけ薬局導入後の構造を図示。

次に、ビフォーアフターを受けて、「アフターになると、あなたの業務はこう変わる」と語ります。
メリット提示ではなく、あくまで「こう変わります」という表現にします。「新しく行うこと」と「必要のなくなること」を提示することで、ここでも意義とメリットを明確に、且つ自然に伝えることができます。

P3:施設の世話人様の業務内容の変化(意義とメリット混在ページ)

ここまでの3ページで、企画の概要は伝わってしまいます。
営業スタイルによっては、この3ページだけでも提案書として充分でしょう。

この後もページを続ける場合は、補足情報を足していくようなものです。
今回の提案書では以下のような構成にしました。

・処方薬にまつわる問題…厚労省のデータを3つ提示。根拠の下地。
・かかりつけ薬局で解決できること…前のページを、受けて。意義とメリット。
・かかりつけ薬局が果たす新たな役割…意義とメリット。
・ご利用のイメージ
・独自に開催する研修会
・さいごに

「売り込み的な雰囲気を抑える」ことと「社会的意義を堅苦しさゼロで伝える」ことを両立させるためには、メリットはメリット、意義は意義、という感じで紹介していくのではなく、資料全体の流れの中で意義とメリットを伝えていくような構成が適切です。

よくある資料との対比

商品・サービスをアピールするために作るのが提案書ですから、メリットはメリット、意義は意義、と、ページごとに明確に分けることが多いですよね。

※たとえばこんな感じ。
「今回こんなものを作りました」→「導入するとあなたにこんなメリットがあります」→「その理由はこうです」→「そしてこんな意義があるんです」→「さらに、こんな独自のメリットもあります!」→…

これが間違いというわけではありません。
ただ、資料内でメリットをバン!と打ち出す感じがあると、その後に語る意義にも打算を感じさせてしまう作用があります。
「こんな意義があります!=おたくにとって対外的にアピール材料になりますよね(小声)」みたいな。

これを営利が主目的ではない相手にやると、担当者さんによっては「あ、この人とはお付き合いできないな」「見ている方向が違うな」と感じてしまうこともあるでしょう。

そもそも、営利が主目的ではない相手に売り込むモノやサービス、仕組みというのはたいてい、意義とメリットが両立するものが多いはずです。
今回の資料で言うと、かかりつけ薬局が推進されているのは患者などの便宜向上と健康被害のリスク低減を目指してのものなので、その性質を提案書作成にそのまま反映させてしまえばよいのです。

まずは、前述した本資料の構成にそのまま当てはめてから適宜修正するなどして、良い構成を探ってみてください。

さいごに

今回の資料は「意義」と「メリット」をあえて混在させて作成しましたが、どんな企画・サービスの提案書でも混在させれば良いということではありません。

提案書でも動画広告でもそうですが、定石やパターンはあります。
しかし同時に、取り扱う製品や相手によって、伝え方をちょっとずつ変える必要もあります。

たとえばセールスライティングの手法にヘタに当てはめてしまうと、情熱が伝わらなかったり、胡散臭くなったりしてしまいます。

このブログでは、皆さんが毎回いちいち考える際のヒントを、ご提示していければと思っています。

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