提案書、しゃべりすぎると読まれない

馬の耳に念仏 企画書・提案書
聞く耳を持たれない
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・こんなに丁寧に説明しているのに…どうしてお客さんは理解してくれないの!
・上司から「資料がゴチャゴチャしていて読みづらい」と言われる…

この記事で解決できるお悩み

今回も実例を挙げながら、上記のお悩みを解決するためのヒントを提示していきます!
(私は「動画広告の台本」や「提案書・プレゼン資料」などを作成している構成作家です。詳しくはこちら

資料で伝えたいことが多すぎる!どうしたら上手くまとめられるの?
個人事業をされている方や広報・営業担当の方なら、一度は頭を悩ませたことがあるでしょう。

どんなにいいモノをつくってもその魅力が相手に伝わらなければ、意味がありません。

私は日頃、“最低限、相手に話を聞いてもらえるようにしよう”と意識して、資料などを制作しています。(もちろん、その上で「どうしたらより効果的に伝えることができるか」なども考えていますが。)
魅力があるサービスや商品なら、話を聞いてもらえさえすれば、その魅力が伝わるはずですからね。

ということで今回は、「相手に話を聞いてもらえる資料」づくりのポイントをご紹介します!

“人に何かを伝えること”を仕事にしている人間の観点を垣間見ることができるので、資料作成や広告制作を外注する際にも参考になると思います。

話を聞いてもらえない理由

話を聞いてもらえない原因として多いのが、“しゃべりすぎ”です。
実例で見ていきましょう。
(どなたであるかが特定できないよう、細部を改変するなどしながらご紹介します。)

ケース1:課題ぜんぶ言いたがり

ロードサイド店舗を複数店経営している5~60代くらいの男性から、類似業態の店舗に営業する際に用いる、サブスクの新サービスの提案書作成をご依頼いただきました。

資料の冒頭あたりで、想定顧客が抱えている課題を挙げるパターンがありますよね。
たとえば困っている様子の人物イラストから吹き出しが出て「○○のせいで▽▽してしまい困っている…」みたいな。

資料冒頭の課題部分

こんな感じの部分。過去の作例から抜粋。

本資料も、これを2つ3つ挙げるような構成にしました。

下書き提出後、社長さんからWEB会議のご希望があったため受けると、どうも、“想定している課題を、すべて事細かに挙げないと気が済まない”というご様子。
提示された修正案には…

「○○したいとは思っているけど、●●があるために諦めて、なくなく☓☓している。せめて▼▼だけでも欲しいな…。でもそれも☓☓という現在の状況を鑑みると、なかなか難しい…。(最近※※というやり方もあるらしいからそれもちょっと気になる!…でもやり方がわからないよ…)」

こんなに長いセリフが、5パターンびっちり。
ページが文字で埋め尽くされていました。

ご自身も店舗を経営されているので、「同じような境遇の人たちの苦境を、新サービスによって救いたい」という思いの強さが窺えます。

しかし…

課題提示の過剰な例

イメージ図。

これは…
資料の冒頭にこんなページがあったら、読む気が失せてしまいます。

社長さんのご意向も汲みつつ、どうにか良い形に修正しなければなりません。

ケース2:オプションの特徴ぜんぶ言いたがり

オーダーメイド品を扱う、とあるショップの店長さん(5~60代男性)から、説明用資料作成のご依頼。
「オプションが豊富であるため注意事項が多く、わかりづらいとお客様から言われる。問い合わせの電話が多くて一日の半分を説明に取られるほど。一読しただけで基本的なポイントが伝わるような資料を作ってほしい」とのことでした。

参考として、現在お客様にお渡ししているという資料をお送りいただいたので見てみると、10ページにわたって文字がビッチリ。
こりゃたしかに読まれないだろうな…。

というわけで、私なりに資料に導線を作り、基本的なポイントを過不足なくおさえた資料の下書きを作成。
必死で執筆
社長さんにご確認いただいたのですが…
返ってきた修正案は、文字の羅列でした。
努力が報われるとは限らない

しゃべり過ぎの解決法

しゃべりすぎてしまう人に「喋りすぎです」とお伝えしても、なかなか納得していただけません。
そこで私は、以下のようにお伝えしてみました。

ケース1(ロードサイド店の社長さん)

そもそも提案先の店舗の皆さんは苦境に立たされている当事者なんですから、詳しく事情を語らなくても課題や背景などはわかっているはずですよね。

働く人

現場の方は、とうぜん事情をわかっている。

相手もプロなんですから1から10まで全部話さなくても、6あたりから話し始めたり、あるいは「1→5→10」と要素をまとめた短文で伝えたりすれば、言いたいことは伝わるはずです。

伝えたいことをびっちりと書いても、「相手の読む気をなくす」というネガティブな効果しか発揮しません。

また、営業でつかう資料なら、資料にすべてを書ききる必要はないということも知っておきたいところ。
資料には要点を記載し、詳細は喋りのほうで補えばいいんです。

ケース2(ショップの店長さん)

あえてはっきりと「ご指摘のように文字だらけにしてしまうと現状と変わらないため、新たに資料を作成する意味がなくなってしまいますね」とお伝えしてみました。

これに対するお返事を拝読すると、どうも「誤解を与えたくない」という考えが強く、その背景には「お客さんには全部理解してほしい」「初歩的な質問で時間を取られたくない」という思いがある模様。
この思いが拭いきれず、ふたたび「文章で語り尽くす」形にしてしまっているようでした。

以前に行った初回ヒアリングでは、「今回あらたに作成する資料をお客さんに読んでもらい、基本事項を理解してもらった上で、わからないことだけを電話で問い合わせてもらうようにすれば、お問い合わせの質を上がり、店長さんの業務負荷は下がりますよね」という話になり、資料の方向性が固まっていました。

でもいざ確認という段になると、ご性格もあるのでしょう、全部しゃべりたい欲が出てきたようでした。

あらためて今回作成する資料の意味付けをていねいにご説明すると、ご納得いただけたようで、最終的にはスッキリとまとまった資料の作成につながりました。

働く人

業務効率アップにつながる

このような原因で喋りすぎてしまう方は、「資料の性格、位置づけ、意味づけ」をはっきりとさせてから作成することで、喋りすぎを抑えることができるかもしれません。

しゃべりすぎてしまう理由

私の経験上、たくさんしゃべりたくなる原因は、主に以下の2つです。

1つ目は「性格」。
心配性だったり、おしゃべりだったり。
あるいは自信家であったりなど、その方の個性によって、しゃべりすぎが生じます。

2つ目は「情熱」。
すべてのサービスや商品は、開発者が心血を注いだ結果、生み出されたものです。
開発者の情熱が、「あのポイントも伝えたい、このポイントも伝えたい」という気持ちにつながり、しゃべりすぎてしまうのです。

馬の耳に念仏

聞く耳を持たれない

しかしどんな理由があっても、やはり喋りすぎてはいけません。
聞く耳を持たれなくなり、「話を聞いてもらえる資料」ではなくなってしまいますから。

こんな方は要注意

以下に当てはまる方は、しゃべりすぎているかもしれないので注意しましょう。

・細かい説明文を読むことが苦にならない人
自分には苦にならないことだから、他人に対してやってしまっても気づかないんですよね。
じつは私もこのタイプです。
これはもう、おのれの性質を自覚して、気をつけるしかありません。
私も毎回戒めながら仕事をしています。

・ひとから「で、何が言いたいの?」と言われる人
要点をまとめるのが苦手なのかもしれません。
解決法としては、はじめに言いたいことをバーっと書き連ねてみてください。
それらを話がつながるように1から10へと順序よく整理し、さらに1→3→5→7→10程度に絞ってみましょう。

・ひとから「話が長い!」と言われる人
「話が長い人」は、様々なタイプに分かれます。
「そこ詳しい説明いらないから」とツッコまれるタイプや、話が脱線するタイプの2タイプ、自分に自信を持ちまくっているタイプなどなど…。
正直、話が長い人が短く話すのは難しいと思うので、話を端的にまとめられるタイプの方に任せたり、プロに外注したりなどするのが良いと思います。
でもそう言ってしまってはおしまいなので、「話が長い人でも、話を端的にまとめる方法」みたいなのを考えて、そのうち記事にしてみようと思います。

話が長い人

・50代以上の男性
これは完全に余談。
年齢や性別を要因として云々するのはあまり適切でないシーンもありますが、まぁ「悪いことをしている」と指弾するわけじゃないので言うと、私の経験上、しゃべり過ぎな資料を作るのは8割方が「50代以上の男性」なんですよね。
長年のご苦労と、積年の努力がそうさせるのか…?
自分も気をつけていきたいと思います。
あくまで私の偏った経験ですので、違うご意見があればお寄せください。

さいごに

ここまでお読みいただいて、「自分はどうしても喋りすぎてしまうから、外注しよう」とお考えになった方もいらっしゃるかもしれません。

しかし外注したとしても、本記事記載の注意点を意識しておかないと、外注先に“しゃべりすぎ”を注文してしまうかもしれないので要注意。
“クライアントのご意向”としてそのまま反映されて結局、しゃべり過ぎの成果物が出来上がってしまう可能性もあります。

お金をかけて外注しているのに、同じ過ちを繰り返してしまってはもったいないです。

資料の意味付けをはっきりとさせて、必要十分の資料をつくりましょう。
かならず「相手に話を聞いてもらえる資料」になるはずです。

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