・提案書で伝えたいことが多すぎてゴチャゴチャしてる気がする…
・サービス内容だけじゃなくて、“思い”まで伝えたい!
今回も実例を挙げながら、上記のお悩みを解決するためのヒントを提示していきます!
(私は「動画広告の台本作成」と「提案書・プレゼン資料の作成」を累計150本以上担当している構成作家です。詳しくはこちら)
新規事業や、新発想で生まれたサービスを提案するとき、どういう語り方をすれば相手にその良さが伝わるか、迷いませんか?
「新しさをアピールしたいし、他との違いもアピールしたいし、できれば発想に至った経緯まで伝えたいし…」と、伝えたいことが溢れてきて、迷ってしまうものですよね。
そこで今回は、盛り込みたい情報をシンプルにまとめた新規事業の提案書を、実例付きでご紹介致します!
「制作過程で何を考え、どのように表現したか」を記していくので、新しさも必要性も思いも、すべてを整理して伝えられる資料づくりのきっかけにしていただけると思います。
今回の提案書
企業の福利厚生アウトソーシングサービスとして「鍼灸」を提供する新規事業。
導入した企業の従業員は、福利厚生として、プロの鍼灸師による施術を無料で受けられるようになる、というもの。「このサービスを導入しませんか?」と営業をかける際に用いる、提案書の作成をご依頼いただきました。
今回のポイント
要素の洗い出し
まずは、「特徴」や「強み・メリット」、「懸念されるであろう点」などの要素を洗い出します。
①特徴
・鍼灸であること
②強み・メリット
・その瞬間だけ気持ちよくなるような施策ではない。先につながる。社員が健康な状態で働き続けてくれる。
・「健康経営」に意識がある企業であると、内外に示すことができる。
③懸念されるであろう点
・本当に効果が出るのか
・いろんな部署・働き方の社員がいるけど全員が享受できるの?
要素の意味づけをする
要素を洗い出したら、各要素がこの資料の中で「どういう役割をもたせることができるか」「どういう意味を持つか」という観点で、意味づけをしていきます。
①特徴
・鍼灸であること
→東洋医学の「未病」という視点。差別化を図る際に言及すべき。
→社員が病気になる前に対処しておける福利厚生であるということが新しい。
②強み
・その瞬間だけ気持ちよくなるような施策ではない。先につながる。社員が健康な状態で働き続けてくれる。
→福利厚生として定着しているマッサージなどのリラクゼーションとの差別化。
・「健康経営」に意識がある企業であると、内外に示すことができる。
→メインのアピールポイントにするほどの力はないが、サブ的に必ず言っておくという位置づけ。
③懸念されるであろう点
・本当に効果が出るのか?
→ページを割いて施術者の専門性をアピールする必要。
・いろんな部署・働き方の社員がいるけど全員が享受できるの?
→企業毎にオーダーメイドで対処しますよ、ということをアピールする必要。
構成ー実際の資料を見ながら
要素の位置づけを定めたら、全体の構成、つまり話す順番や話し方を決めていきましょう。
構成の“正解”は営業スタイルやTPOによって変わりますが、共通して求められるのは、最初の1~2ページで概要やおおよそのメリットが相手に伝わることでしょう。
今回は、サービスの概要プラスαの部分まで資料にて伝えたい、というクライアントさんのご希望でしたので、そういうタイプの資料であると認識していただいた上で、お読みいただければと思います。
それでは、公開許可を得た範囲で実際の資料を提示しながら、構成の解説をしていきます。
P1:サービス概要
「サービス内容」と「得られるメリット」を、イメージ写真を添えつつ、簡単な文章で綴ります。
サービスの概要を瞬時に理解できるようなページにしました。
P2:事業にもたらす好循環を図で表現
P1の概要を膨らませる内容。吹き出しにて細部に関する情報も提示しています。
P3:なぜ東洋医学か、という説明
紙面を左右に分割する形に。画像を用いた印象的な表現と、しっかりと語る文章。
最大の特徴の説明で、他のサービスとの差別化にもなる部分なので、あえてしっかりめに語ってみました。
P4:鍼灸の効能
「鍼灸の効能」を箇条書きで説明する形を採りながら、「施術を受ける社員にとってのメリット」と、「社員がメリットを享受することで生じる会社のメリット」が伝わるようにしました。
P5:鍼灸師の紹介
「その道のプロが施術する」とお伝えすることで、信頼性を伝えます。
P6:プラン形成
企業毎にオーダーメイドで対応できることをアピール。
さまざまな働き方をしている社員に平等にサービスを提供できるのか、という懸念を払拭します。
P7~9:導入事例
異なる業種・業態の企業3社での導入事例を、文章や箇条書きなどで伝えます。
オーダーメイドで対応できることを実例で示すと同時に、実績がきちんとあることもアピール。
P10:何を目指しているのか
理念の部分。
サービスの概要やメリットなどをじゅうぶんに伝えた上で、「なぜこのサービスが今必要か」という理念の部分に触れるページ。ストレートに理念を語るページにするのもアリですが、今回はここまでで紹介してきた社員・会社それぞれへのメリット部分を補足する情報をご紹介する中に、理念語りを盛り込んでみました。
ストレートに理念を語るページのメリットは「思いがストレートに伝わること」ですが、デメリットとして「一人でしゃべってる感が出てしまう」ことがあります。
今回は次のページでも思いを語りたかったので、バランスをとって、補足情報に盛り込む形にしてみました。
P11:さいごに
最後のページには連絡先や公式LINEへのQRコードを表示。
さらに、本サービスの発案に至る経緯を、数行の文章で語りました。
なぜ経緯について触れたかを、次の項目にて説明します。
理念や思い、ストーリーなどを伝える理由
本資料作成のご依頼をいただいた当初、クライアントさんから事前にいただいていたサービス概要の説明や、資料の下書きの端々から、“思い”を感じていました。
企画の理念や思いの部分まで提案書で伝えたほうが、営業の機会を人間同士の会話とすることの手助けになると考え、「どのような経緯で、この事業アイデアを思い浮かんだのでしょうか?」と質問してみました。
その質問へのご回答を、最後のページなどに盛り込んだという感じです。
事業スタートのストーリーまで上手に伝えることができれば、共感を得られる可能性があり、企画の魅力が際立ちます。
ストーリーが美しいからといってサービス導入が決まることはないでしょうが、結局は人間と人間のコミュニケーションですから、「どうしてあなたはこれをやりたいの?やっているの?」という部分を伝えるのは重要だと考えています。
さいごに
伝えたいことが盛り沢山になりがちな新規事業の提案書の作り方について、その一例をご紹介いたしました。
ご紹介した手順で情報を整理しながら作っていけば、「無理にまとめようとして情報が盛りだくさんの、わかりづらい資料」になるのを避けることができます。
さらに、資料のベースを固めた上で、思いやストーリーの部分まで伝えられたら最高ですよね。
そんな資料作りの一助になれば幸いです。
コメント